土地収用法第26条第1項の規定による事業の認定

先日、市ノ坪の府中街道沿いの柵にこんな掲示があることに気づきました。

このままだと読みにくいのでテキストに起こしました。
(手入力したわけではなく、Google先生のお力をお借りしました)

お知らせ

 川崎市 (起業者) が皆様の御協力により進めております、一般国道409号市ノ坪工区道路改良事業について、令和4年6月21日付け神奈川県告示第278号で、土地収用法第26条第1項の規定による事業の認定の告示がありました。
 つきましては、土地所有者及び関係人の皆様に、次のとおりの効果が発生しておりますので、土地収用法第28条の2の規定によりお知らせします。

  1. 事業認定の告示があった土地
    (1) 収用の部分
       神奈川県川崎市中原区市ノ坪地内
    (2) 使用の部分
       なし
    (注) 本土地を表示する図面は、 川崎市建設緑政局道路河川整備部道路整備課でご覧ください。
  2. 土地価格の固定について
     1に掲げる土地の価格については、 事業認定の告示があった日をもって固定されることになります。
  3. 土地所有者及び関係人が受けることができる補償について
     この事業のために土地が収用又は使用される場合には、土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する補償、建物の移転補償等、これらの他土地が収用されることによって通常生ずる損失を適正に評価して補償します。
  4. 関係人の範囲の制限について
     事業認定の告示があった日以後に新たに権利を取得した方は、既存の権利を継承した方を除き関係人に含まれないこととされておりますので、損失の補償を受けることができません。
  5. 土地の保全義務
     事業認定の告示があった日以後に、何人も、神奈川県知事の許可を受けなければ、起業地について明らかに事業に支障を及ぼすような形質の変更をしてはなりません。
  6. 損失補償の制限
     事業認定の告示があった日以後に、土地の形質を変更し、工作物を新築又は増改築等をするときは、あらかじめ神奈川県知事の承認を得た場合を除き、これに関する損失の補償を請求することができなくなります。
  7. 裁決申請の請求について
     裁決申請は、起業者が行いますが、土地所有者及び土地に関する所有権以外の権利をもっている関係人は、自分が権利をもっている土地について起業者に対し、裁決の申請をすべきことを請求することができます。
  8. 補償金の支払請求について
     土地所有者及び土地に関する所有権以外の権利をもっている関係人は、土地又は土地に関する所有権以外の権利に対する補償金の支払いを起業者に対し請求することができます。この補償金の支払請求は、7の裁決申請の請求とあわせてしなければなりません。
  9. 明渡裁決の申立てについて
     土地所有者及び関係人が早期に移転を希望される場合は、起業者が裁決申請を行った後に神奈川県収用委員会あて明渡裁決の申立てができます。
  10. その他
     その他詳細につきましては、土地収用法を参照して下さい。
     なお、用地補償に関する詳細につきましては、パンフレット「補償のあらまし」などを用意してありますので、以下の問合せ先にご連絡下さい。

(以下省略)

なんかよくわからないので、「その他詳細につきましては、土地収用法を参照してください」との指示に従い、土地収用法の原典を読んでみようとしたのですが、なんと第百四十六条まであって断念…

いろいろ検索してみた結果、神奈川県収用委員会のホームページにたどりつきました。これは結構わかりやすいです。

いわゆる府中街道拡張事業の市ノ坪工区の事業が、令和4年6月21日付で事業認定された、という段階で、裁決はまだこれからのようです。

このあたりから狭くなってしまう府中街道 (3 Stars Pancake の前から北西方向)

そもそも「土地収用」とは…

収用とは、特定の公共事業のために、正当な補償の下、権利者の意思に関わりなく、土地等の所有権をはじめその他の権利を移転又は消滅させることをいい、…

『土地収用のあらまし』 – 神奈川県ホームページ

なるほど。

土地収用のしおり』 (PDF) に載っているQ&Aが具体的でわかりやすいです。
エグいものをいくつか挙げてみます。

Q
私は、この事業は必要ないと考えていますので、その旨を是非とも収用委員会に訴えたいのですが。
A

収用委員会は、土地収用に伴う補償金の額などを判断するための組織です。したがって、必要性などを含め、事業に対する不満を訴えることはできません。

Q
裁決書が届きましたが、内容に不満があるので、私はお金を受け取りません。また、期限が来ても明け渡すつもりもないので、企業者が収用することはできませんね。
A

権利者が補償金を受け取らない場合、企業者は、その補償金を法務局に供託することで補償金を支払ったものとみなされ、土地の所有権を取得します。

また、裁決書に定められた明渡期限までに物件を移転して企業者に土地を明け渡す義務を履行しなければならないことに変わりはありません。明渡期限の時点でなお土地の上に建物等がある場合、企業者は県知事に土地収用法、行政代執行法の手続きにより代執行を請求することができます。

Q
裁決された補償金の額では納得できません。さらに争いたいのですが。
A

補償金の額に不満がある場合は、起業者を被告として裁決書の正本を受け取った日の翌日から起算して6か月以内に訴訟を提起することができます。この訴訟を行政事件訴訟法では「当事者訴訟」といいます。

なお、補償金の額を除き、収用委員会の裁決に不満がある場合は、裁決書の正本を受け取った日の翌日から起算して30日以内に国土交通大臣に審査請求するか、裁決書の正本を受け取った日の翌日から起算して3か月以内に神奈川県を被告として訴訟を提起することができます。この訴訟を行政訴訟法では「裁決取消訴訟」といいます。

裁決申請が出されてから裁決まで、およそ10か月かかるそうなので、来年の4月頃ですね。
その後、裁決に関して行政訴訟になったら、解決までさらに時間がかかりますねえ…。早く決着して工事が進んでほしいものです。

参考サイト

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